知られざる数珠の世界 ~九代目に繋がる~
数珠とはいったい何なのか、皆さんはご存じでしょうか?
神事、仏事に用いられる数珠。現在は伝統工芸品としての側面、また新世代向け商品の開発等様々な数珠が存在します。そんな数珠の歴史・魅力・現在の進化について、福永念珠舗九代目社長 福永荘三さんにお話を伺いました。
≪数珠(じゅず、ずず)とは≫
穴が貫通した多くの小さい珠に糸を通し輪にした法具であり珠の数は108珠が基本である。形状は、各宗派の本式念数珠だと厳密な決まりがあるが本式数珠以外だと数に決まりはない。仏を念ずる時に用いる 珠との意味から「念珠」(ねんじゅ)とも呼ばれる。
仏・菩薩を礼拝する際に手にかけて用いる。本来仏教の念仏の回数を数えるのに使うが浄土真宗の場合は、念仏を唱える回数に使用しないため珠の数を数えない。仏前での崇敬の念の表れとして用いる。 全国各地で製造されるが、その大半は京都で作られ、京都で製造されたものだけが京念珠という。
1.数珠の魅力 ~意外と楽しい数珠選び~
数珠とは
数珠は「道具」ではなく合唱する手に必要な「法具」です。僧侶によって昔からどのように 使用するかは、宗派それぞれ仏教の中で位置づけられていますが、江戸時代から一般民 衆が使用するようになり、簡易的な形状の数珠が多く作られるようになりました。珠の種類 も増え、今では西洋思想を受けてパワーストーンと呼ばれる石も材料に含まれます。
<参考>
珠の種類(一例):菩提樹、水晶、珊瑚、琥珀、黒・紫檀、虎眼石、アメジスト等
珠の形 (一例):丸玉、平玉、彫りを施した玉(羅漢、阿弥陀、骸骨等)
私たちの想像を超えた素材・形状の数珠が多数存在!
私たちもインタビュー前までは、「非常にかしこまったもの」だと思っていましたが、色・形・素 材を自分好みで選べる身近なものだと感じました。
2.福永念珠舗の魅力 ~歴史から培われた職人技術~
歴史
東本願寺(真宗大谷派)前にある福永念珠舗さん。その歴史は平安時代に遡ります。
もともとは今でいう滋賀県長浜市新庄馬場町にある誓伝寺(真宗大谷派)の次男坊 が初代で、享保八年に分家し、同宗派の本山である東本願寺に貢献するため京都に移 住。手先が器用ということもあり東本願寺の小間物を作る役割を担い、寛政九年(江戸 中期)には小間物問屋から念珠製造小売として創業しました。
東本願寺前の土地柄と、また、江戸中期から一般市民にも宗教が許され浸透することに 伴う数珠の需要増もあり、念珠製造を生業とされたとのことです。
福永念珠舗の魅力
創業から変わらず「感謝の気持ちを珠に込めて」珠の一粒一粒に心を込めて念珠を作成、お届けされています。
数珠も時代とともに進化し、珠の素材も木から水晶、真珠、琥珀からマンモス、ベネチアンガラスまで様々。珠の形も阿弥陀彫りやドクロなど一見ファンキーに思えるものまで多数ライ ンナップされています。また、コロナ禍に発売したマスクストラップや、年代に合わせた色の念 珠に加え、オーダーメイドで念珠を作るサービスもされております。取材中も外国の旅行者の方も興味深くショッピングされていました。
立派なお店の前で緊張気味に一枚
3.九代目福永荘三社長の魅力 ~人情味溢れるスゴ腕職人~
福永念珠舗九代目社長の福永荘三さん
幼少期より数珠づくりが生活の中にあり、先々代より上手く出来ると褒められることに喜び を感じ、自然とその技術を身に着け、物心ついた時には本店舗を継承する意思が芽生え 自然と継承されたそうです。
社長として大切にされていることは、全てに感謝の気持ちと思いやりを持って接することで、「感謝の気持ちを珠に込めて」を企業理念にされています。
荘三さんの肖像画
「人は一人では生きていけない。生かされてることを認識し、すべての人、物、自然に感謝 と思いやりの心をもって接する。」 この当たり前のことを日々継続することが10年20年先も 大きな指針となると思っているとのこと。仕事を通して職業奉仕することが大切とのことです。 また、祖母からの教えである「こうべを垂れろ、胸を張るな」を心に刻み、お店まで足を運ん で頂いているお客様へのおもてなしをされています。
職人指導においては、技術もさることながら“人”としての成長を大切に考えている様子で、 職人の皆さんも和気あいあいとされていて、職場も和やかで楽しい雰囲気だと感じました。
社長として、人間味があり、やさしくも筋が通った方という印象ですが、社長業以外にも 記事ではお伝えしきれないほどの肩書をお持ちの方です。ますます興味深い方ですね。
一例)真宗大谷派参議会議員、光華女子学園 参与、京都物産出品協会 副会長等々約30の肩書をお持ちです。
様々な面で興味深い、荘三さんですが、そろそろ後継者選びを思慮されています。
お子様も大変ご多忙な方なので頭を悩まされているようです。
果たしてどうなることやら・・・
荘三さんへのインタビュー模様
店舗内にある職人さんの作業スペース
4.数珠の未来 ~次世代の方が使いたいと思うものづくり~
使う人が使いたいと思う数珠づくりが必要
インドからシルクロードを経て、遣隋使、遣唐使が持ち帰り、日本で色んな宗派の発展と ともに、形が進化し、江戸時代中期から一般庶民でも法事事が許されるようになったことか ら、数珠は私たち一般人へと浸透化してきました。
近年、宗教的な意識は薄らぎきつつあるものの、これからも永遠に法事は行われ、法具と しての数珠が役割を無くすことはないと思います。また、法具としてだけではなく、日常のお守りとしてのブレスレット型のもの等の需要も高まっています。
マスクストラップ着けてみました!いかがでしょうか?
急な法事により、慌てて数珠をご準備された方々も多いのではないでしょうか。年齢を重 ねる度に使用機会が多くなると思います。そのためにも、予めご自身がお使いになりたい、 持っていたいと思う数珠を選びを行ってみては如何でしょうか?市販には無い、オリジナルな ものも、福永念珠舗さんにご相談頂ければ、満足頂ける一品をご用意頂けるかと思います。
自分で素材を選んで念珠を作れるとは、取材で行くまで想像してませんでした。
荘三さんの願い
ご使用になる方が「使いたい」と思える数珠を作ることにより、自然と合唱する行為に繋がるよう願いたい、とのことです。
株式会社 福永念珠舗
◼︎株式会社 福永念珠舗
・Home Page https://www.juzz.net/
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