和菓子作り体験で今までと一味違う「京都旅」はいかが?
春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色・・・四季折々に楽しめる京都。
神社やお寺、京町屋に石畳。見て楽しめる京都旅に「体験」を入れてみませんか?
七條甘春堂本店では季節ごとにメニューが変化する“和菓子作り体験”も人気です。ご用意いただいた道具や材料があるので手ぶらでOK♪
お抹茶とともに出来上がりをそのままいただいてもよし、持ち帰ってお土産にするもよし。
材料を見るだけでワクワク!ドキドキ!
今回作るのは(3月)「山桜」「都の春」「菜の花」の三種類。季節ごとにメニューが変わるので季節ごとに参加していろいろな和菓子を作ってみたくなりますね。
今回教えてくださったのは、歴の長い職人さん。教え方もお上手でユーモアたっぷりの説明でずっと笑いっぱなし。手の動きや力加減などしっかりと教えていただきます。
聞いていると簡単な気がしますが、結構難しい!けど職人さんがゆっくり丁寧に教えてくださるので安心です。
指の動きが繊細でやったことない手の動き!むずかしーい!!
「合ってる?」「OK!」とコミュニケーションを取りながらみんなでワイワイ♪
まだまだ桜には程遠く「本当にこれが桜になるの!?」と不安になりながら、職人さんに言われた通りに白い餡を丸めてのばし、ピンクの餡を重ねてのばしこし餡を包みます。
指で花びらの部分を作って、竹べらを使って線を入れていくと、だんだん花びらが形になってきてーーー「かわいい!」愛着が沸いてきます。
二つ目の「都の春」は三色の餡をくっつけて丸くしていきます。
お正月飾りの「餅花」みたいでかわいい♪
きれいに三色に分かれて丸められました。
丸めた餡を布巾で包んで成型をしていきます。
これがなかなか難しい。「さっきまで簡単だったのに~」
「山桜」の難易度もなかなかでしたが、こちらも油断できません。
何とか完成しましたが、三者三様の個性的な「都の春」になりました。
三つ目の「菜の花」は緑の餡を「そぼろこし」でこして、粒あんの玉にくっつけていきます。
「うまくくっつかな~い!」力加減が本当に繊細でやりすぎてもやらな過ぎてもうまくいかない。ポロポロ落ちるのをもう一度くっつけてポロポロ落ちてを繰り返してやっと成型完了!
無事?に三つの完成です。自分では上手にできたと思いますが…いかがでしょう?
改めて職人さんはさすがだなー、と実感しました。
手作り和菓子の作りたてをその場で実食!
「山桜」は二つ作るので、どちらか好きな方(大体が美しくない方)をお抹茶といただきます。お茶も自分で茶筅(ちゃせん)を使って点ててます。
残りは持ち帰ってお茶菓子でも、お土産としてプレゼントしてもいいですね♪
形は、、、桜にはちょっと見えない!
でも最初の工程で包み込んだ餡の断面は、こし餡の黒とピンクと白のグラデーションがきれいに出せました。
初めての和菓子作りは、職人さんの偉大さを改めて感じ、尊敬しきり。
一時間の体験教室ですが、楽しすぎてあっという間の時間でした。
手作り和菓子の作りたてをその場で実食!
この日はお天気も良く、外のテラス席も開放。
季節限定メニューもあって、カフェ目当てに訪れるお客様もたくさんおられます。
体験教室の後に、カフェを楽しめるのは本店だけなのでぜひ足を運んでみてください。
こちらの体験教室を行っている七條甘春堂は1865年に東山七条で創業された老舗の和菓子屋さんです。ここからは、創業から約160年経った今でも、たくさんの方に愛され続けている七條甘春堂の魅力とその経営を担う専務の木ノ下晃帆さんの魅力をお届けします。
『今のままを続けていく』
ご贔屓様にもこれから出会う方にも愛される“京菓子屋さん”に
色鮮やかな和菓子たちの誕生秘話
「七條甘春堂」をインターネットで検索してみると、美しい和菓子の写真がずらり。一般的な和菓子を想像すると、羊羹のあずき色やお餅の白色、どら焼きなどの茶色のような落ち着いた色合いを思い浮かべますが、七條甘春堂の商品はそんな和菓子のイメージが180度ひっくり返るほど色鮮やか。「ブーケかん」や「爽や菓」、「天の川」など魅力的な和菓子がたくさんあり、それらが誕生するまでのお話もとても素敵です。
例えば、晃帆さんが考案された「ブーケかん」の誕生には、想像以上の時間と工夫が積み重ねられています。ブーケかんの中にはエディブルフラワーという食べられるお花が入っています。晃帆さんが事業を継いだばかりで悩まれていた時、取引先の方からの紹介でこのエディブルフラワーに出会い、自分なりに新しい和菓子を作ってみようと思い立ったことがきっかけで、ブーケかんの商品開発はスタートしました。お話を聞いてみると、ブーケかんは構想だけで約1年、その後何度も試作を繰り返しながらようやく完成に至った商品とのこと。
晃帆さんは「和菓子は花に見立てて表現することはあっても生の花は使わないため、生の花を使うこと自体が新しい試み。試作品を作る段階でも、花を熱したり固めたりすることで生の花の良さが損なわれないか、職人さんたちと一緒に悩み続けました。また、季節によって使える花も変わります。加えて、花には色や形に個体差があります。なので、1つ1つのブーケかんを作るのに、和菓子職人のバランス感覚と色彩感覚が問われます」と教えてくださいました。
実はこのブーケかん、一色ではなく“今きれいなもの”として毎月花が変わるという事にも驚きです。職人さんと共に難しいことにチャレンジされている話をお聞きし、新しい商品の開発におけるご苦労だけでなく職人さんとの絆と信頼関係を窺い知ることができました。すごくアットホームな感じがして、こういう職場にちょっと憧れます♪
七條甘春堂が大切にしている想い
七條甘春堂は、和菓子の伝統や文化が大切にしてきたことを新しい世代に伝え紡いでいくことにも挑戦されています。
晃帆さんは、七條甘春堂に入社してすぐ、店舗販売を行いながら「新しいお客様に来てもらうにはどうすればいいか」を日々考えていたといいます。「常連さんは『このお菓子が好きやから』と買いに来てくださる。でも、新しいお客様にはどうやって来てもらうのか、どういう風にお菓子を購入しはるのか、どうアピールすれば魅力が伝わるのかという事を毎日悶々と考えていました」
そこで晃帆さんは店舗に訪れるお客様の傾向を調べてみたそうです。すると30~40代のお客様が極端に少ないことが判明します。「なぜか、30~40代のお客様が少なくて。自分と同世代のお客様なので、自分が何かの商品を手に取るのはどんな時か、何度も考えました」自分が手に取るならこんな感じ、と想像して、パッケージの制作にグラフィックデザイナーや写真家を起用。パッと見て和菓子とは思えないようなおしゃれで斬新なパッケージに一新されました。
(写真は半分サイズ)
もう一つは、「おばあちゃんに持って行こうと思うけど少し大きい」という意見からサイズに注目。これまでの七條甘春堂の羊羹は一棹300g、一口サイズのような個包装も考えられましたが「羊羹らしさ」を失わないように、半分のサイズにされたそうです。
私も取材当日、商品を購入させていただきましたが、おしゃれなパッケージに惹かれてつい2つ買ってしまいました(笑)。サイズは半分のものを購入しましたが、一人で贅沢に食べる、誰かと二人でシェアするくらいがちょうどいいサイズ。ちょっとしたプレゼントにもよさそうです。
お客様のニーズに合わせてブラッシュアップしていくお店と晃帆さんの姿がものすごくかっこいいなと素直に感じましたし、これまで七條甘春堂が一番大切にされてきた想いがとても伝わりました。
新しい世代にも残したい伝統とこれからのこと
(写真は半分サイズ)
晃帆さんから教えていただいたことに、和菓子の中でも京菓子は特に季節の移り変わりや歳時記※に書かれた四季折々の伝統的な風習や行事をとても大切にしている、ということがあります。「そういう文化的なことが世の中全体として薄れているし、伝える存在が少なくなって廃れてきている。たとえば昔はおばあちゃんから、『6月は夏越の祓(なごしのはらえ)で水無月を食べるんだよ』と教えてもらったけれど、今は教えてくれる存在も機会も少ないんです」晃帆さんはそういった現状を変えていきたいと考え、さまざまな挑戦をされています。
その中でも特に目を惹くのが、ポケモンをモチーフにした京菓子です。幅広い世代に愛されるポケモンを通じて文化を学んでほしい、という七條甘春堂の想いが込められている一方で、決してポケモンのイメージを損なわないよう丁寧に作られている商品です。
世代を超えて一緒に学べるものにしたい、という想いがとてもよく伝わります。
※歳時記とは四季折々の事物や行事などをまとめた書物の事
また七條甘春堂では和菓子の手作り体験教室も開かれています。私も仲の良い職場の同僚と一緒に体験させていただきました。目で見るよりも自分で作る事でより季節や文化を感じられ、楽しみながら学ぶことができ、本当に素晴らしい取り組みだなと感じました。
インタビューの最後に、これから先の事をお尋ねすると「おっきくもなくちっちゃくもなく、今のままずっと続けられたらいいなとは思っています。海外の方とかも、うちの体験に来ていただいて、色々見て学んで、学ぶっていうか、知ってもらえたらいいなと思うんです。このまま、このままって言い方悪いですけど、皆さんに、今のお客さんにも愛され続ける会社になっていたらいいな」とおっしゃっていました。
ポケモン京菓子のような新しい挑戦を行いながら、京菓子が大切にしてきた文化や想いを次世代に伝えていきたい、そんな思いが晃帆さんの「いまのまま」に込められていると感じました。
七條甘春堂本店へは
京阪電車京都本線・七条駅から徒歩約5分。
JR京都駅市バス206.208系統 約10分 「博物館三十三間堂」下車 徒歩1分
京都国立博物館の西側に位置します。
何度でも訪れたくなる魅力あふれる店舗と職人さんから直接教わる和菓子作り。 京菓子が織りなす四季折々の美しさとともに、この体験をきっかけに京都をより感じてみませんか?
■七條甘春堂 本店
住所:京都市東山区七条通東入ル西の門町551番地
電話:075-541-3771
予約制:詳しくはHPをご覧ください。
https://7jyo-kansyundo.co.jp/pages/taiken
開始時間:10時~/13時~/15時~ (各60〜90分)
料金:3,300円/おひとり様
店舗営業時間:9時~17時30分
定休日:1月1日(臨時休業の場合あり)
田村 のぞみNozomi Tamura
京都に生まれ育って40年が過ぎました。それでもまだまだ知らないところがたくさんです。
趣味は旅行。旅行先で出会う人・風景・食べ物を楽しみに訪れています。