丹山酒造

※農業法人メイドイン京都…丹山酒造がお米作りのために立ち上げた法人

丹山酒造の詳しい歴史については、当時の記録も少なく、先代から見聞きしたことで歴史を紡いでおられます。昔、お酒造りに使っていた木樽は、今ではとても貴重なものになっているそうです。

丹山酒造のキャッチフレーズでもある「酒造りは米作りから、米作りは土壌から」は、長谷川さんが19歳の時に出会った発酵学の第一人者の小泉武夫先生から頂いた言葉だそうです。その言葉が、米作りをするきっかけとなり、契約農家さんと協力して米作りをスタート!
16年前からは自社で米作りするため農業法人「メイドイン京都」を立ち上げ、真摯に酒米と向き合ってこられました。13ヘクタールの農地で無農薬、自然栽培にこだわられています。
また、お酒造りでは醸造アルコールを使わないお酒にこだわって、商品づくりをされています。

長谷川さんが5代目社長に就任されてから力を入れてきたのは、直営店の展開。
現在も一部の問屋へ卸しているものの「お客様には試飲して気に入ったお酒を直接購入してもらいたい。そのためには、やっぱり直営店!」と思い、「丹山酒造の商品に詳しい人がいるお店づくり」を決断されました。
「お店づくりにあたっては、色々な方に助けてもらったからこそできた」と感謝の気持ちを教えてくださいました。

インタビューを通して、私たちが感じたことは、柔和で可愛らしい雰囲気の長谷川さんから「お酒造り」と「働く方々」への「愛情」そして「敬意」が伝わってくる話ばかりだったことです。
長谷川さんは、酒造り経験があり職人さんの苦労や大変さを、身をもって知っているからこそ、職人さんに負担がかからない様に考えておられます。四季醸造にチャレンジすることで、酒造りのアイデアも広がり、また新しいお酒に出会えるんじゃないか、そう深く考えておられるように感じました。

松井さんは「お酒造りは大変ですが、慣れれば案外大丈夫です。」と話してくださいました。お酒造りは、米の溶け具合や、酵母の種類、温度などで味わいや風味が変わるため、様々な要素の影響を考える必要があります。日々チームのみんなで意見を出し合って、良いお酒造りに取り組まれておりました。
「丹山酒造でやってみたいことは?」とお聞きしたところ、「自分のお酒を造ること」と笑顔で話してくださり、その姿を見て、長谷川さんの想いがしっかりと伝わっていて、私たちも応援したくなりました。

以前から地元で米農家をされていた中澤さんは、農業法人メイドイン京都の立ち上げ後に、丹山酒造の仲間に入られた1人です。そこから、無農薬・有機栽培にこだわった酒米作りへの挑戦。虫や気候などの“自然”と格闘の日々。
「自然と対話しながら稲穂と向き合って、時には田んぼの神様に祈りながら、そして感謝を忘れずに圃場(ほじょう)を守る。ずっと見てきたこの地の風土を知っているからこそ、丹山酒造の酒米に活かせる水と土があることが分かる」という想いが伝わってくるようなお話が聞けました。
お話しされるエピソードの一つ一つが“愛”に包まれており、酒米に対する想いがとても伝わりました。

今回、長谷川さんはじめ、松井さん、中澤さんにもお話を伺い、率直に感じたことは「みなさん楽しそう」ということでした。新しいことを考え実行することは、ワクワク楽しくなりますが、「みんなが同じ気持ちで取り組む」のは難しいと思います。1つ1つの商品にこだわり、1人1人が新しいことにチャレンジしながら、前へ進んでいく丹山酒造。そんな丹山酒造だからこそ、「酒造り」「米作り」「土壌作り」を安心して出来るんだなと感じました。
秋からは新酒も出来、これからがお酒本番の季節です。
ぜひ酒蔵見学も合わせて足を運んでみられてはいかがでしょうか?

田村のぞみNozomi Tamura

京都生まれ京都育ち。中小企業向けアウトバンドコールセンタで企画育成業務を行っています。
趣味は旅行。旅先で出会う「人」「食べ物」「風景」すべてに感謝し、休みになればどこかへ出かけています。
ここ最近は京都の魅力を再発見したく、日々いろいろな目線で京都を見つめています♡