甘さに込めた、変わらぬ想い
素敵なお菓子が作られる可愛らしい場所
京都市内の静かな住宅街、観光客がにぎわうエリアから少し離れた場所に、ひときわ目を引くピンク色の建物があります。そこが、創業76年を迎える「フランス屋製菓」の工場兼直売店です。「ここで本当にお菓子を作っているの?」 と驚く人もいるほどです。可愛らしい外観とロゴが描かれた看板を目印に人々は訪れます。フランス屋製菓では、毎日、誰かの“おやつの時間”を彩るお菓子が、丁寧に、そして心を込めて作られています。
今回は、四代目社長の佐々木さん、製造部長の加藤さんにお話を伺いました。
子どもからお年寄りまで。変わらぬ“家族の味”
フランス屋製菓の歴史は、1947年に始まりました。「象のようにのしのし一歩ずつ」という想いを込めて立ち上げたこの会社は、今もその精神を受け継いでいます。象のロゴには、上野動物園にやってきた象の「花子」にちなんで、力強く、ゆっくりと進む姿勢を重ねたといいます。
創業当初から変わらないのは、「家族みんなで楽しめるお菓子を作ること」です。誰もが手に取りやすい価格帯で、見た目も可愛らしいです。「うちは、お子さんからお年寄りまで、手に取って頂けるように動物やお花といった、可愛らしい商品を作っています」 と語る佐々木さん。
その言葉通り、バレンタインや母の日などのイベントでも、手頃な価格で贈れる商品を展開し、動物をモチーフとしたチョコレートや焼き菓子は、子どもたちの目を引き、お年寄りには懐かしさを感じさせ、世代を超えて愛され続けています。
お客様を想う気持ちを乗せて
商品づくりは、温度1度、原料1gの違いが味に影響するほど繊細な作業です。「毎日同じように作っていても、結果が違うことがある。だからこそ、基本を守ることが大事」 と職人さんは語ります。職人さんは、数値だけでなく感覚も大切にしながら、丁寧に作業を進めています。かつては温度計を使わず、チョコレートの艶や流れを目で見て判断していたと言い、その経験が、今も現場の判断力として生きています。技術や商品は変化しても、「お客様を思う気持ち」は変わりません。フランス屋製菓のものづくりには、ぬくもりと誠実さが込められています。「お客様の顔は見えないけれど、いつも思い浮かべながら作っています」 と語る職人さんの言葉には、商品に込める想いがあふれ出ています。
また、工場内ではスタッフの皆さんのコミュニケーションも活発で、日々の改善や工夫が積み重ねられています。検品では重さで梱包する商品数をチェックする等、違いがないような作業が散りばめられています。お客様が商品を手にした時にどう思うのか、スタッフさん一人ひとりが意識されており、商品に作り手の想いが乗っています。
お客様とのやりとりで地域の人々とともに歩む
工場兼直売店を初めて2年。少しずつ口コミが広がって、今では他府県の方も、お菓子を買いに訪れてこられるとのことです。それも、明るく笑顔で向かえてくれる販売スタッフさんいらっしゃるからでしょう。笑顔が明るく、素敵な販売スタッフさんは、常連のお客様のお名前は覚えられていて、「○○さん、いつもありがとうございます」 と接客されているとのことです。お客様や地域の方々とのやりとりを大切に、一歩づつ、丁寧に関係を積み重ねられている姿勢が、愛される秘訣なのだと感じました。
通年で働くことが難しいスタッフさんのことも大事な仲間として考えており、期間限定でも毎年同じ人からの応募があるそうで、地域の人々とともに歩まれているのが分かります。お客様と販売スタッフさんが名前を知り合い、挨拶や気軽に意見を交わしたりする様子は、企業としての温かさを感じさせます。
フランス屋製菓は、単に洋菓子を作る会社ではありません。地域の人々とともに歩み、日常の中にある小さな幸せを形にする存在なのです。これからも、変わらぬ想いを軸に、様々な挑戦を続けていくことでしょう。
おわりに
フランス屋製菓は、76年の歴史の中で、創業者の想いを守りながら、改善を続けています。その根底にあるのは、「家族の笑顔を思い浮かべた商品づくり」という、シンプルで力強い想いです。時代が変わっても、変わらない甘さ── それは、これからも“おやつの時間”を彩っていくことでしょう。
- ■フランス屋製菓 問い合わせ先
住所:〒612-8429 京都市伏見区竹田西段川原町100番地
TEL:075-641-6261 - ■オンラインショップ: https://www.furansuya.jp/